最近インスタやLINEでお客様とやりとりをさせていただく中でよく聞くのが
「自分でもスパイスからカレーを作ってみたんだけど、イマイチだった」
という声。
ネットに載っているレシピで作ってみた、スパイスはあれとこれを使って〜と、深掘りをして聞いていくと、なるほど、そりゃそういう結果になるよね、という結論がわたしの中で生まれたのであります。
結論から先に言いますね(タイトルにもなってるしね)
そのレシピ、圧倒的にスパイスが足りてません。
目指すゴールとネットのレシピのミスマッチが起こってる?
まず大前提として、おうちで作るカレーの代表格として市販の固形ルーを使うカレーライスがあります。
あれは味の着地点が「カレーライスのあの感じ」と割と明確だから、仕上がりに不満を感じることは少ない。
でも家でスパイスからカレーを作ってみようと思い立った時の着地点ってどこですかね?
そうです、カレーの専門店で食べて美味しい!と感じた、あの味じゃないですか?
今まで家では食べたことのなかった、あの風味豊かなスパイスカレー。(ここでは固形ルーを使わない、スパイスだけで作るカレーをスパイスカレーと定義しますん!)
あの味が着地点であれば、そりゃネットや本に書いてあったレシピで「なんか違う」って感じるのは仕方のないことです。
だって圧倒的に足りてないですもん。スパイスが。
量も種類も。
自分が目指したい着地点と、家庭で作れるスパイスカレーの着地点が最初からズレているんですね。
単なるミスマッチ。ダレモワルクナイ…

家でこういうの作って食べてみたいよなー(超大変)
脳が「美味しい!」と叫ぶには、物理的な「香りの密度」が必要です。
まず最初に量。
カレー専門店を長年やってきて、仕込みに使うそりゃもう大量のスパイスが当たり前だったわたし的観点からすると、圧倒的に足りてません。
例えば、某大手スパイス企業のサイトに書いてあったスパイスカレーのレシピ。(うちも卸でお世話になっているので批判的なことは書きませんよっ笑)
2人前想定で、鶏肉250gに玉ねぎ1玉。
この分量のレシピで、使うスパイスはトータルで大さじ1杯分。
スパイスの大さじ1杯って5-6gくらいです。
1人前だと2-3gってとこ。
わたしが家で同じようなレシピでスパイスからカレーを作るときは1人前大体10gくらいはスパイス入れます。
カレーの種類は違えど、お店で仕込んでいたスープカレー1人前に使っていたスパイス量は約10-15g。
ルーカレーも同じくらい。
うちのスパイスキットだと、スープカレーもルーカレーも約15g(@1人前)。
比較対象がN=1(うち)、という貧弱なデータですが、多分よそのカレー屋さんもそのくらいだと思うんですよね、食べれば分かるので。
物理的に、圧倒的に量が足りないです。
人間の鼻が「あ、これ複雑で奥深い香り!」と認識するには、ある一定以上の濃度(香気成分の密度)が必要。
少ないスパイス量だと、具材の肉や玉ねぎの水分に香りが薄まってしまい、脳に届く前に消えてしまいます。
専門店が大量にスパイスを投じるのは、単なる力技ではなく、「脳が興奮する香りのライン」を確実に超えさせるための圧倒的スパイスの量。
言い換えるならスパイスの暴力、うーん快感ですなぁ♡笑

スパイスBIG3は「家」の骨組み。それだけじゃ美味しいカレーにはならない。
そしてもうひとつが、種類。
ネットで見かけるレシピで本当に多いのが
・ターメリック
・クミン
・コリアンダー
スパイスBIG3とも言われるこの3種類があればカレーが作れますよ!っていうもの。
くうううううう、、、、!
つ、作れはする、作れはするんだけどね?
そのスパイスBIG3は超基本スパイス。
家で例えると床と壁と屋根。
住めはする、だが快適ではない。
まさにその状態。
内装と空調と家具と家電とインテリアを入れてやらねば、「快適」には住めないよね?
先ほど「量」が足りてないよね、というお話をしましたが、だからと言ってこのスパイスBIG3の量を単純に増やしても、目指すべきあの専門店みたいなスパイスカレーには到達しないんでありんす・・・!
わたし的に最低限加えて欲しいのは(もちろんどんなカレーを作るかにも寄るってことを前提に置いた上で)
・フェネグリーク
・オールスパイス(クローブ / ナツメグでも)
・カルダモン
・シナモン
・ペッパー系
めっちゃざっくり挙げましたが、このあたりは仲間入りさせて欲しいです。
スパイスBIG3は「カレー風味の土台」。
でも、カレーの「色気」や「余韻」を作るのは、その脇を固めるカルダモンやシナモンといった芳香性の高いスパイスたち。
種類を増やすのは、「香りの時間差攻撃」を仕掛けるためです。
口に入れた瞬間のインパクト、噛んだ時の刺激、飲み込んだ後の鼻に抜ける余韻。
このレイヤーを重ねることで、お店っぽいスパイスの奥深さが楽しめるってわけです。

先日スパイスから作った無水キーマ。スパイス19種類使いました、これぞスパイス沼の住人。
いや、めんどくさいから外に食べに行くわってなるよね
でもさ、これらのスパイスを集めたとて、調合したとて、それで美味しいカレーが出来上がったとて、
いやそれやるくらいなら外に食べに行くわ!
ってなるくらいめんどくさくないですか?めんどくさいですよ!笑
だって2〜3人前のレシピで使うそれぞれのスパイス量って微量ですもん。
微量のスパイスを複数種類使うのってめっちゃめんどい。
しかも週1ペースくらいで作ってやらないとなかなか減らない。
使いきれずにホコリかぶってキッチンに置いてあるスパイスの末路を考えると、もはや買い揃えるのすら荷が重い。
そこのあたりクリアしておうちで美味しいカレーを作れる人はもうかなりのスパイス沼、カレー沼ですよ(ようこそこんにちは☺️)
だからこそスパイスキット!ドーン!
っていう宣伝に持っていきたい意図ではないのでいったん置いておいて…(笑)
うちのスパイスキット、他のお店のスパイスキットと比べるとちょっとだけ割高かもしれません。
一袋で複数回作れる設計にしているので、そこを考えたら決して高いわけじゃないんですけど、ひとつ知っておいていただきたいのがスパイス量が結構多いってこと。
やっぱりうちはもともとカレー屋さんでして、お客様が「美味しい」と思う着地点を熟知しているつもりです。
だからおうちで作るスパイスキットではあるものの、そもそもの基準が「外食基準」で設計しております。
だって、せっかくスパイスキットを買って材料も揃えて、家でさあ作ろう!と挑戦してくれたのに、「物足りなく」感じるの、めっちゃ残念じゃないですか…!
だから量も種類も、お店レベルに入れることにしました。
とまあうちの話はここらにしておきましょう。

まとめ:ポイントを押さえると、家でもお店みたいなカレーは作れます。
長々と「足りない、足りない」と言ってしまいましたが、決して「手軽に作るのがダメ」と言いたいわけではないんです。
忙しい毎日のなかで、3つのスパイスでパパッと作るカレーだって立派な自炊だし、それはそれで美味しい。
ただ、もしあなたが「あの専門店の、脳を揺さぶられるような体験」を自宅で再現したいと願うなら…。
その時だけは、ちょっとだけ「スパイス足りてない説」を信じてみてほしい!
「スパイスから作るなんて、やっぱり自分にはハードルが高いな」 そう思わせてしまったら本末転倒なので、うちではその「めんどくさい部分(種類を揃えて、絶妙な量で調合する工程)」を全部引き受けて、一袋にギュッと詰め込んでいます。
なーんだ、家でも簡単にお店みたいなカレーできたじゃん!
そんな達成感が、次はこのスパイスを足してみようかなー、とか、ゼロから自分で調合してみたいなーとか、そんなスパイスを楽しむきっかけになれたらいいな、と思っています。
スパイス量と種類のお話、頭の片隅にでも入れておいてもらえたら嬉しいです!