皆さんこんにちは!
とらのいスパイスの店長です。
カレー屋さんとしてお店に立っている中でよく聞かれていたのがこんな質問。
「これ、辛いですか?」(辛いならやめとく的な…)
この質問を受けるたびに、私は心のどこかで「もったいない……!」と叫んでいました。
なぜなら、その質問の裏には「辛いのが苦手だから、スパイスそのものを避けなければならない」という切実な誤解が隠れているから。
今日は、わたしが数多くのお客様にカレーをご提供する中で経験してきた、スパイスと辛さの関係をお話しします。
これを読み終える頃、あなたの「辛いスパイス」への常識は、きっと180度変わっているはずー!
ぜひ最後まで読んでみてくださいね♪
「スパイス = 辛い」は間違い!
先述した通り、カレー屋さんをやっていて一番「もったいない!」と感じるのが
「辛いのが苦手だからスパイス料理も敬遠している」というお声です。
確かに、市販のカレー粉やルーにはあらかじめ辛味スパイスが含まれていますが、本来「スパイス」という言葉が指す範囲は驚くほど広大です。
スパイスの役割は大きく分けて「香り」「色」「辛味」の3つ。
このうち、辛味を担当するスパイスは、実は全体のほんの数パーセントに過ぎないのです!
というわけで、「これを入れると辛くなる!」という代表選手を知っておくと、調整がしやすくなりますヨ。
- チリペッパー(唐辛子): ズドンとくる直接的な辛味。
- ブラックペッパー: 後味を引き締める、ピリッとした刺激。
- ジンジャー(生姜): 体を芯から温める、じんわりとした辛味。
- ホワイトペッパー: 魚料理などに合う、上品でシャープな辛味。
スパイスは料理に「刺激」を与えるためだけのものではなく、素材の良さを引き出し、味に「立体感」や「奥行き」を与えるためのツールです。
だから、辛さを入れなくても、脳が「美味しい!」と喜ぶ奥深い一皿は作れます。
まずは「スパイス=辛い」という先入観のスイッチを切ることから読み進めてみてくださいね〜!

20年の経験が語る「辛くないのに本格的」なカレーの作り方
「辛くないカレーなんて、ただの物足りないスープじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、20年以上のカレー屋さん経験から断言できるのは、「香りの設計」さえしっかりしていれば、辛味が無くても最高に美味しいカレーは作れるということです。
カレーの骨格を作るスパイスの代表格は、ターメリック(色)、クミン(香り)、コリアンダー(香り)。
これらには辛味成分がほとんど含まれていません。
この3つをベースに、玉ねぎの甘みやトマトの酸味、そしてブイヨンを丁寧に重ねていけば、お子様からお年寄りまで楽しめる「香る本格カレー」が完成します。
実際、 「とらのいスパイス」のキットも、この考え方を大切にしています。
すべてのスパイスキットの辛さは、市販で売っているカレーの「普通〜中辛」程度になるように設計。
辛いスパイスは一番最後に風味程度に加えたりする程度。
まずは色付け、香り付け、風味付け…とスパイスを緻密に組み立てていって、必要に応じて最後に辛味を少し足す。
こんな考え方でスパイスを調合しているのです。
だから、まずはスパイス本来の豊かな芳香をダイレクトに感じていただきたい!
辛いとか辛くないとかの前に、まずはそこからだー!と思っております(笑)

チリ(唐辛子)は、辛味の前に「フルーティーな果実」である
ここで少し専門的なお話を。
私たちが辛味付けに使う「チリ系スパイス」ですが、実は彼らの真の魅力は、その「フルーティーな香り」にあります。
唐辛子はナス科トウガラシ属の植物であり、植物学的にはピーマンやパプリカの仲間です。
特に高品質なチリは、完熟した果実のような華やかで甘い香りを持っています。
辛味成分である「カプサイシン」にばかり目が向きがちですが、この「風味」こそが料理に唯一無二の風味を与える正体なのです。
「でも、辛いのはどうしても苦手……」という方に、店主としておすすめしたい代用スパイスが「パプリカパウダー」です。
パプリカは辛味を持たない品種の唐辛子を粉末にしたもの。
化学的にもチリと共通の芳香成分を多く含んでいるため、辛さを一切加えずに、チリ特有の赤い色味とフルーティーな風味を再現することができます。

お子様や辛さが苦手な方へ。マジもんの「現場の消火術」
「少し辛く作りすぎてしまった!」
そんな時、ネットではよく「牛乳を飲め」と書かれています。
でも、 30年近くカレー屋さんをやってきた店主のママさんがたどり着いた最強の消火器は「ヨーグルト」です。
なぜ、ただの乳製品ではなく「乳酸菌が入ったもの」が良いのか?
そこにはカレー屋さんとしての実感と科学的な裏付けがあります。
- 濃縮された洗浄力: 牛乳よりもタンパク質(カゼイン)が濃縮されているヨーグルトは、舌の受容体にへばりついた辛味成分を、強力な洗剤のように引き剥がしてくれます。
- 乳酸による「トゲ抜き」: 乳酸菌が生み出す「乳酸」は、アルカリ性の性質を持つ辛味成分と反応し、その刺激を和らげる「中和」のような働きをします。
- 物理的なバリア: さらさら流れる牛乳と違い、ヨーグルトの粘性は口内に留まり、痛みのセンサーを優しくコーティングしてくれます。
「辛すぎて食べられない!」というお子様には、迷わずヨーグルトをひと匙混ぜてあげてください。
乳酸菌という小さな味方が、一瞬で「痛み」を「マイルドなコク」に変えてくれますよ〜!
実はわたしたち、経験値として辛味にはヨーグルト、を知っていたのですが、今回調べていて科学的にも有効ってことが分かりました。(ママさんすごいなー!)
※スパイスが大量に使われたカレーにいくら火消しとしてヨーグルトや甘みを加えても、スパイスそのものの量を減らすことにはならないので注意が必要です。
小さなお子様には、お腹を壊す可能性も考えてやっぱりお子様用に別のカレーを用意してあげるのがベストだとわたしは考えます。

辛党を唸らせる「旨み型」辛味スパイスの秘密
逆に「やっぱりガツンと辛いのが好き!」という方にこそ、とらのいスパイスの「特製辛味スパイス」を試していただきたい…!
これは宣伝ではなく、わたしもめちゃくちゃ辛党なので声を大にして言いたいのだ…!(笑)
「ただ痛いだけ」の激辛調味料とは違うってことを!
カレー屋さんを長くやる中で辿り着いたのが、数種類のチリにペッパーやその他の香り系スパイスを絶妙な比率で配合すること。
一種類の唐辛子だけでは「単調な痛み」になりがちですが、複数をブレンドすることで、辛さの「時間差」と「深み」が生まれます。
口に入れた瞬間の鮮烈な刺激、その後に追いかけてくる香り系スパイスの甘い香り、そして喉を通る時のじんわりとした温かさ。
このミックスは、カレーを辛くするだけでなく、カレーそのものを「旨く」するブースターなのです。

カレーだけじゃない!世界中の料理を美味しくしよう〜
この「旨みのある辛さ」は、カレーという枠を軽々と飛び越えます。
イタリアン: アラビアータやペペロンチーノに。オリーブオイルとの相性は抜群です。
韓国・中華: チゲや麻婆豆腐の仕上げに。唐辛子の「香り」が立つことで、お店の味に近づきます。
メキシカン: タコスやチリコンカンに。
和食: 実はきんぴらごぼうや、お味噌汁にひと振りするのもおすすめ。
「辛味」を一つの調味料として捉えることで、日々の食卓のマンネリを打破し、新しい味覚の扉を開くことができます。

まとめ | 辛さはコントロールできる!自由自在に使おう♪
スパイスを使いこなすということは、料理の「主導権」を握るということです。
今日は家族みんなで優しくパプリカの香りを。
明日は一人のランチで辛味スパイスを効かせて刺激的に。
辛さは決して「敵」ではないのです。
自分や家族が「美味しい」と思えるポイントを、自由自在にコントロールできたら最高に楽しいですよね♪
「とらのいスパイス」では、
スパイスで自由に遊ぶ食文化をつくる - Free to Play with Spices -
を大きな目標として掲げております。
身近な食卓から、視点を変えることでスパイスがより自由な存在になるように…!
今後もこういった情報を発信していきますね〜!
最後まで読んでいただきありがとうございました♡