スパイス屋さんをはじめるとき、店名はかなり悩んでかーなーり時間をかけて考えました。
最終的に、トラをイメージキャラクターとした「とらのいスパイス」という名前にしたのですが、その理由の一つに「お店を作る時は、シンボルとしてロゴなどに使える、わかりやすいモチーフがあればいいな」という思いが、最初から私の頭の中にあったからです。
今は情報に溢れている時代で、個人でも割と簡単にいろいろなサービスや事業を始めることができます。
スパイス屋さんという業態自体は数はそんなに多くありませんが、おしゃれすぎる雰囲気や、オーガニック、玄人向け…といった、どこか敷居の高いスパイス屋さんにするつもりはありませんでした。
ターゲットはあくまでもカレーが好きな一般の方。
ちょっとだけスパイスに興味があって、家で作れたら嬉しいな、みたいな。
そう考えるようになった背景には、とらのいスパイスの前身のお店である「札幌カリーぱお」というわたしの実家の存在が大きくあります。
このお店には「ぱおちゃん」というピンクの象のキャラクターがいました。
お店の看板にも描かれていた、ちょっと不思議で、どぎついピンクの象(笑)
この象が謎すぎて「入りにくい」と言われたこともあったくらい(笑)
でも24年も営業していると、いつの間にか地域の人に愛され、「ピンクの象のカレー屋さん」として認識されるようになっていました。
ぱおはスープカレーブームの中にあっても、地域のお客様が気軽に入れるお店を目指していました。
私が作るスパイス屋さんも、そんなお店にしたい。
そんな思いがあって、黄色いトラのキャラクターができたってわけです。
でも、あんなに愛された「ぱお」という名前と、ピンクの象さんがいたのに、なぜあえて変えてしまったのか。
今日はそんなお話をしていきたいと思います。
最後までぜひ読んでいってくださいね〜🤝

ぱおちゃんとは?
ピンクで不思議な顔をしたキャラクター、ぱおちゃん。
知っている方もいるかもしれませんが、実は1999年にお店がオープンする時、母と当時小学生だった私たち姉弟が描いたイラストなんです。
当時、ぱおがあった通りの左手には「山桜桃」というラーメン屋さんがありました。
毎日行列ができていて、たくさんのお客さんが来ていて、「いいなあ」という気持ちがありました…!
ぱおちゃんの目が左側をじっと見ているのは、そのラーメン屋さんを見ていたからです(笑)
ピンク色なのは、皆さまに愛されるキャラクターであってほしいという意味と、お店の内装が黄色をモチーフにしていたので、それに合わせてパキっと目立つピンク色になりました。
また、「ぱお」という名前は、当時多摩動物園で生まれた象の「ぱおちゃん」からもらったんですよー!
お店の看板やウィンドウ、スタンプカード、チラシ、いろんなところに描かれたこのピンクの象さん。
毎月発行していた「ぱおタイムズ」というお店のフリーペーパーには、なんと4コマ漫画まで掲載されていました!(わたし作)。
最初は不思議なキャラクターだと思われていましたが、長くそこにいるうちに、皆さんに愛される存在になっていたのです。
周年イベントではぱおちゃんのグッズまで作られるようになり、閉店する時に作ったぱおちゃんのハンカチは、あっという間に売り切れました。
そういえばステッカーは今でも再販して欲しいって言われるなぁ。
お店の前には、ぱおちゃんの看板を立てて「さようなら、ありがとう」と書き、皆さんに記念撮影をしていただいたくらい…!
まるでぱおちゃんがそこにいるかのように、お客さまの心の中でいつの間にか擬人化され、とても愛していただいていた。
飲食店のシンボルを超えた、そんなキャラクターでした。

ぱおちゃんの生みの親?笑 当時ゾウさんの絵を描いた3姉弟です(店長は真ん中)
ぱおのスパイス屋さんじゃダメだったの?
ぱおが閉店して私がスパイス屋さんを始めようと思った時、ぱおのレシピを扱うのであれば、「ぱお'sスパイス」など、もっとぱおに近い名前をつけることもできたんじゃないか、と思う人もいるかもしれません。(ぱお'sスパイスはダサいね…!笑)
あえてぱおの名前をつけなかったのには、もちろん理由があります。
私がスパイス事業を始める時に考えていた展望として、ぱおのレシピはもちろんのこと、将来的にはぱおでは出していなかったカレーのレシピや、他のカレー屋さんとのコラボレシピなども、いつかスパイスとして商品化できたら楽しいな、という思いがありました。
これからきっと外食産業は、もっともっと厳しい時代になります。
そんな時、スパイス事業という販路が一つあれば、私が長年お世話になったカレー業界に少しでも恩返しができるんじゃないか。そんな思いがあります。
だから、あえてぱおの名前を外すことにしました。
もちろん、「ぱお」とつけた方が、昔からのお客さまには分かりやすいし、「あそこの娘さんがやってるんだ」とすぐ理解してもらえることも、よく分かっていました。
でも、ぱおはあの場所で、皆さまに愛され、皆さまにきちんと「さようなら」を言って、一つの区切りをつけたのです。
もっと言うと、あれは私の母のお店であって、私のお店ではありません。
自分の力で事業を始めようと思った時、きちんと割り切ることは、私にとってとても大切なことでした。

ぱおで売っていたスパイスとぱおちゃんステッカー。とらのいスパイスの前身。
なぜトラになったの?
だからといって、私が20年以上あのお店で経験してきた、お客様との心地いい距離感や、お客様に愛される力、お客様の役に立ちたいと願う姿勢、そういった「ぱおちゃんイズム」を手放したいわけではありませんでした。
むしろ、それはきちんと継承していかねば!と思っていました。
そして何より、おしゃれすぎず、かっこつけすぎず、そんなお店にしたかったのです。
スパイス屋さんって、そもそもハードルが高く感じられがちなお店だと思ってます。
でもわたしは「ぱお」のように、カレーが好きな多くの一般の方に向けた商売がしたいのです。
マニアックな知識を求めているわけでもなく、スパイスを一から揃えて研究したいわけでもない。
「お家のカレーがもっと美味しくなったらいいな」とか、「自分でスパイスからカレーを作るのって楽しいな」と思ってもらえる、そんなお客様にスパイスを届けたい。
それこそが、ぱおちゃんイズムだと思いませんか?
だから店名を考える時、私は「ぱおちゃんの弟分、妹分みたいな存在」が欲しいな、と思ったんです。
そこで思いついたのが、私が寅年であること。しかも五黄の寅年🐅!
めちゃくちゃ強運で、これだと思ったことには突き進む、そんな五黄の寅年の女です!
これはもう、自分のアイデンティティとして虎を入れなければいけない、そう思いました🔥笑
虎にまつわる言葉をたくさん調べて考えていく中で、「虎の威を借る狐」という故事を思い出しました。
虎の威=プロのレシピに置き換えて、プロのレシピをお家で気軽に借りて、自慢の一品にしてもらえたら。
そんな思いを込めて、「とらのいスパイス」という名前をつけました。
そして、そのシンボルとして、皆さまに愛されてほしいという意味を込めて、ちょっとひょうきんな顔をした黄色いトラのキャラクターを添えました。
眉毛の上には赤い唐辛子、右頬にはスターアニス、右のこめかみにはクミンシード。
スパイスを顔につけている姿は、毎日必死でスパイスの調合に取り組んでいたわたし自身の姿をトレースしています(笑)

閉店前年の寅年の年賀状。この虎さんも今のとらのいにちょっと通ずる感じが…!
ぱおからトラへ
ピンクの象から黄色い虎へ。
草食だったピンクのぱおちゃんから、肉食の黄色いとらのいくんへ。
母から娘へ、バトンをつなぐように、お客さまとの心地いい距離感や、お客さまに愛され、役に立つお店を作るという「ぱおちゃんイズム」は、しっかりと受け継いでいます。
ぱおちゃんはいなくなったわけじゃありません。
ただ、琴似の片隅のあの場所で役目を終えただけ。
今は、「とらのいスパイス」という形に姿を変えて、私の人生の方で、もう一度動き始めました。
私の覚悟と一緒に、また皆さんのキッチンに立っていますよ♡

🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅🐘🐅
最後まで読んでいただきありがとうございました!
この「読みもの」ではこんな感じで店長のパーソナルなお話をしていきます。
店長のこんな話が聞きたい、あの時どんな感じだったの??
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